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できること・できないこと

解説

AIは万能ではありません。得意なのは「もっともらしい言葉や文章を作る」こと——その一点に尽きます。だから、文章を作る・要約する・アイデアを出すといった仕事は得意な一方、厳密な正確さ・毎回同じ結果・最新の事実が求められる仕事は、AI単体には向きません。この境界を知ると、何を任せて何を任せないかを、自分で判断できるようになります。

AIが得意なのは、確率で「次に来そうな言葉」を選んで、なめらかな文章を作ることです(仕組みは 生成AIとは何か)。だから、次のような仕事は安心して任せられます。

  • 文章を作る・直す(メール、議事録、提案書の下書き)
  • 要約する・言い換える・翻訳する
  • アイデアを出す・考えの壁打ちをする
  • プログラムのコードを書く

共通するのは、「正解が一つに決まらず、多少ぶれても人が直せる」仕事だということです。とりわけ、アイデア出しのように決まった正解がなく、満点もない仕事は、むしろAIがいちばん輝く場所です。「いい感じの完成品」を一発で求めるより、たたき台として受け取るのがコツです。

一方、次のような場面では、AIをそのまま信じると事故が起きます。

計算は「できているように見える」だけかもしれない

Section titled “計算は「できているように見える」だけかもしれない”

意外に思うかもしれませんが、AIは素のままだと計算が苦手です。数の意味を分かって計算しているわけではなく(→ 考えているわけではない)、言葉として「それらしい数字」を並べているだけなので、桁数が多かったり複雑になると平気で間違えます。

ただ、最新の主要なAIは、計算を頼まれると裏でプログラムを書いて実行し、正確に答えることがあります。つまり「AIが計算している」のではなく、「AIがプログラムに計算させている」のです。一見AIが計算上手に見えても、中身は別物だと知っておくと安全です。この仕組みが働くかどうかは使うサービスや場面によって変わり、働かなければ普通に間違えます。大事な数字は、表計算やプログラムで確かめるのが確実です。

毎回、同じ結果が返るとは限らない(再現性)

Section titled “毎回、同じ結果が返るとは限らない(再現性)”

AIは確率で言葉を選ぶので、同じことを頼んでも、答えは毎回少しずつ変わります。これは創造的な仕事ではむしろ長所ですが、寸分たがわず同じ結果が要る定型処理には向きません。決まった「形」にそろえたいだけなら、見本を見せて型を固定する手もあります(具体例や型を見せて頼む)。ただ、毎回きっちり同じ処理が要るなら、表計算の関数や業務システムの出番です。

最新の情報や事実は保証されない

Section titled “最新の情報や事実は保証されない”

AIは事実を確かめて答えているわけではありません。最新の制度や他社の動向などは、平気で間違えます。重要な事実は、必ず裏を取りましょう(→ 悪気なく嘘をつく)。

整理すると、判断の軸はシンプルです。

  • もっともらしい言葉・柔軟さでよい仕事 → AIに任せる(下書き、要約、発想)
  • 厳密な正確さ・再現性・事実が要る仕事 → 表計算・ツール・人で補う(計算、定型処理、事実確認)

AIを「何でもできる魔法」と思うと失望し、「言葉が達者な道具」と捉えると使いこなせます。

AIが得意なのは、もっともらしい言葉を作ること。だから、正解が一つに決まらない仕事は任せ、厳密な正確さ・毎回同じ結果・最新の事実が要る仕事は、ツールや人と組み合わせる。この境界を持っておけば、AIに何を任せるかで迷わなくなります。

次は、この「任せどころ」を自分の仕事に当てはめて考えていきます(「自社の仕事に当てはめる」で扱います/順次公開)。