プロンプトを組み立ててみる
チュートリアル 約5分で読めます
「佐藤社長に、新サービスの案内メールを書いて」——AIにそう頼んで、当たり障りのない文面しか返ってこなかったことはないでしょうか。宛先も用件も伝えたのに、です。AIに渡すこうした入力文を プロンプト と呼びます。同じ依頼でも、背景・見本・名札を順に足していくと、効くプロンプトに変わります。この回は、ここまで「うまく頼むコツ」で読んできた頼み方を、自分のプロンプトひとつの上で手を動かして組み立て直してみます。最後まで進めると、最初のそっけない一文が、そのまま使えるプロンプトになります。
できあがるもの
Section titled “できあがるもの”先に到達点を見ておきます。最後まで進めると、最初に書いた一文の依頼が、背景と見本を備え、名札で仕分けられた1つのプロンプトになります。コピーすれば、すぐAIに投げられる状態です。
お手本は「取引先への案内メールの下書きを頼む」で通します。自分が文章を作ってもらいたい仕事——案内でも、返信でも、報告でも——を隣に置いて、同じ手順をなぞってください。
用意するもの
Section titled “用意するもの”- 書くものがあれば十分です。メモ帳でも、チャットの入力欄でも構いません。
- AIに「文章を作ってもらいたい仕事」をひとつ思い浮かべておきます。お手本と同じ案内メールでも、自分の業務のものでも構いません。
- この回は、プロンプトを組み立てるところまでをやります。実際にAIへ投げるのは、できあがってから試せます。
一緒にやってみる
Section titled “一緒にやってみる”1. まず、宛先と用件を一文で書く
Section titled “1. まず、宛先と用件を一文で書く”最初は、ふだん打っているとおりの短い一文でかまいません。「誰に・何を」——宛先と用件だけを書きます。
お手本
佐藤社長に、新しい施工管理サービスの案内メールを書いて。あなたの番
____________宛先と用件は伝えました。それでも、一度でそのまま使える文面は返ってきません。当たり障りのない一般論になったり、「〇〇様」「△△の件で」と穴の空いた下書きが返ったり、「どんなサービスですか」と逆に問い返されたり——どう返ってくるかは、モデルや頼み方によります。いずれにせよ、佐藤社長がどんな相手で、なぜ今これを送るのか、どんな調子で書くのか、AIはまだ何も知らないからです。商品も事情も教えないまま、新人に「佐藤社長に案内メール出しといて」と振った状態です(→「優秀だが自社を知らない新人」)。足りないものを、ここから足していきます。
2. 背景を足す
Section titled “2. 背景を足す”新人になら教えるはずの前提を、言葉にして足します。渡すと効く背景は、だいたい次の4つです(→「指示と背景をセットで渡す」)。
お手本——案内メールの背景。
相手:佐藤社長は10年来の取引先。現場の工程管理に苦労していると聞く目的:来月の値上げ前に、今の価格で契約できると知らせたい状況:サービスは先月始めたばかりで、まだ案内できていないトーン・長さ:堅すぎず、失礼のない調子で。400字ほどあなたの番
相手:____________目的:____________状況:____________トーン・長さ:____________全部埋まらなくても構いません。一つ二つ足すだけで、返ってくるものが見違えます。
3. 見本(型)を見せる
Section titled “3. 見本(型)を見せる”言葉で細かく説明するより、近い見本を一つ見せる方が早く伝わります(→「具体例や型を見せて頼む」)。いつも使っている案内メールの体裁があれば、それを見本にして「この形に合わせて」と添えます。
お手本——いつもの案内メールの体裁を見本に添える。
見本:いつも使っている案内メールの形---ここから---〇〇様
いつもお世話になっております。△△の□□です。このたび、新しいサービスのご案内です。
(本文)
ご不明な点はお気軽にお問い合わせください。---ここまで---あなたの番
見本:____________---ここから---____________---ここまで---手元に見本がなければ、このステップは飛ばして構いません。AIに「まず型を3つ出して」と作らせ、近いものを見本に選ぶ手もあります。
4. 名札で仕分けて、一つにまとめる
Section titled “4. 名札で仕分けて、一つにまとめる”ここまで書いた一文・背景・見本を、名札(ラベル)で仕分けて、一つのプロンプトにまとめます(→「構造化して渡す」)。だらだら続けて書くより、どこが指示でどこが素材かの境界がはっきりして、条件が取りこぼされにくくなります。
お手本
【依頼】佐藤社長に送る、施工管理サービスの案内メールの下書き【相手】佐藤社長(10年来の取引。現場の工程管理に課題)【目的】来月の値上げ前に、今の価格で契約できると知らせたい【状況】サービスは先月始めたばかりで、まだ案内できていない【条件】堅すぎず失礼のないトーン/400字ほど【見本の体裁】---ここから---〇〇様いつもお世話になっております。△△の□□です。…---ここまで---あなたの番
【依頼】____________【相手】____________【目的】____________【状況】____________【条件】____________【見本の体裁】---ここから---____________---ここまで---これで完成です。ステップ1のそっけない一文が、背景と見本を備え、名札で仕分けられたプロンプトになりました。
できたことの確認
Section titled “できたことの確認”手元のプロンプトを見てください。次がそろっていれば、完了です。
- 何をしてほしいか(依頼)が、一行で言えている。
- 相手・目的・状況・トーン(背景)が添えてある。
- できれば、見本や型が示してある(なければ飛ばして可)。
- 全体が名札で仕分けられている。
ステップ1の一文と、見比べてみてください。「佐藤社長に案内メールを書いて」が、ここまで具体的になりました。違いは、特別なテクニックではありません。あなたが当たり前に知っていた前提を、言葉にして並べただけです。新人に商品も相手も教えずに「やっといて」と言っていた状態から、教えてから頼む状態に変わった——それが、このプロンプトです。
次のステップ
Section titled “次のステップ”できたプロンプトを、実際にAIに投げてみてください。一度で完璧でなくて構いません。返ってきたものがズレていたら、「もっと短く」「ここは柔らかく」と継ぎ足せばいい。会話は後から続けられます。
別の依頼でも、同じ4ステップをなぞってみてください。何度か通すうちに、書き出さなくても頭の中で「相手はこれ、目的はこれ」と組み立てられるようになります。
なお、専門外の分野を頼むときは、一語で正確に伝わる言葉を選べると、さらに短く済みます。それは「専門用語を学ぶ」で扱っています。
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最終点検: 2026年6月13日
出典: さとりのしょ — https://satorinosho.jp/prompting/build-a-prompt/