指示と背景をセットで渡す
解説
AIに「メールを書いて」と頼んでも、当たり障りのない文章しか返ってきません。当然です——誰に、何の件で、どんな関係の相手に出すのか、AIは何も知らないからです。AIにまともな答えを返してもらうコツは、指示と一緒に「背景」を渡すこと。この一緒に添える背景を コンテキスト と呼びます。
なぜ背景が要るのか
Section titled “なぜ背景が要るのか”人間どうしなら、頼むときの多くを「察して」もらえます。「例の件、メールしておいて」で通じるのは、相手が状況を共有しているからです。
AIは、その前提を共有していません。あなたの会社のことも、相手との関係も、今日の状況も知りません。だから、人間相手なら省ける前提を、AIには言葉にして渡す必要があります。背景を渡さない指示は、事情を知らない新人にいきなり「やっといて」と言うようなものです。
背景に何を渡すか
Section titled “背景に何を渡すか”渡すと効く背景は、だいたい次のものです。
- 誰のため(相手・読み手は誰か)
- 何のため(目的・ゴール)
- 状況・前提(いきさつ、今どういう場面か)
- 制約(長さ、トーン、避けたいこと)
全部そろえる必要はありません。指示に一つ二つ足すだけで、返ってくるものが見違えます。
「お礼メールを書いて」だけでは、AIは一般論しか書けません。背景を足すと——
取引先の田中部長に、先日の工場見学のお礼メールを書いて。初めて直接お会いした相手で、今後も取引を広げたい。堅すぎず、でも失礼のないトーンで、300字くらいで。
ここまで渡せば、AIは具体的で使える下書きを返せます。足したのは特別なテクニックではなく、あなたが当たり前に知っている背景を言葉にしただけです。
つまずきやすいところ
Section titled “つまずきやすいところ”- 指示ばかり細かくしてしまう。 うまくいかないとき、つい「指示が足りないのでは」と指示を盛りがちです。多くの場合、足りないのは指示ではなく背景です。「何をするか」より「どういう状況で・誰のために」を足す方が効きます。
- 背景を全部書こうとして手が止まる。 最初から完璧を目指さなくて大丈夫です。一つ二つ足して、ズレたら継ぎ足せばいい。AIとの会話は、後から続けられます。
AIは、あなたの状況を察してはくれません。だからこそ、指示と背景をセットで渡す——これが、うまく頼むための土台になります。
背景の渡し方は、言葉で伝えるだけではありません。「具体例や型を見せて頼む」で扱うように、欲しい「形」を見本で見せるのも、AIに足りない情報を補う有効な手です。そして背景は、だらだら書くより整理して渡す方が伝わります。その渡し方は「構造化して渡す」で扱います(順次公開)。