AIが書いたコードをどう動かすか
解説 約7分で読めます
AIにコードを書いてもらっただけでは、まだ動きません。「プログラムで何ができるか」の最後で、AIがコードを「書ける」ことと、それが「動く」ことは別の話だと述べました。この記事はその続き——書いてもらったコードを、実際に動かすまでの話です。鍵は、コードには種類ごとに「動かす場所」があると知ること。VBAならExcel、HTMLならブラウザ。どこで動くコードかが分かれば、専門家でなくても、動かすところまでたどり着けます。
その「コード」とは、何のことか
Section titled “その「コード」とは、何のことか”ChatGPTのようなAIに集計やWebページ作りを頼むと、黒っぽい枠に入った英数字の塊が返ってくることがあります。枠の隅には、コピー用のボタンが付いています。この塊がコードです。
コードとは、プログラムの中身が書かれた指示書のテキストです。正式には「ソースコード」と呼びます。プログラムとはコンピュータへの指示書だ、と「プログラムで何ができるか」で説明しました。その指示書の実物が、このコードです。見た目は暗号めいていますが、正体はただの文字——テキストとバイナリで見たとおり、文字でできたテキストだからこそ、AIはコードを書けるのでした。
書いただけでは、なぜ動かないのか
Section titled “書いただけでは、なぜ動かないのか”コードは指示書です。指示書は、書き上がった瞬間に仕事が終わるわけではありません。それを読んで、書かれたとおりに実行する係がいて、初めて仕事になります。コードにとってのその係が、この記事で「動かす場所」と呼ぶもの——コードを読み取って実行するソフトのことです(専門的には「実行環境」と呼びます)。
「テキストとバイナリ」の図で、コードは「実行すると」Excelファイルができる、と描きました。あの「実行すると」の矢印を担っているのが、動かす場所です。AIはコードを書くところまでは肩代わりしてくれますが、どこで動かすかは、受け取る側が知っておく必要があります。
動かす場所は、コードの種類で決まる
Section titled “動かす場所は、コードの種類で決まる”動かす場所は、コードの種類ごとに決まっています。場所の側から見ると、大きく3つに分かれます。
| コードの種類 | 動かす場所 | 準備 |
|---|---|---|
| VBA | Excel(手元に既にある) | 不要。今日から動かせる |
| HTML | ブラウザ(手元に既にある) | 不要。今日から動かせる |
| Pythonなど | チャットの中 | 不要。AIが書いて、その場で実行する |
| Python(手元で動かす場合) | 自分のパソコン(別途用意する) | 動かす場所の導入から必要 |
準備なしで始められるのは、上の3行です。順に見ていきます。
手元に場所があるコード:VBAとHTML
Section titled “手元に場所があるコード:VBAとHTML”VBAを動かす場所は、Excelです。 たとえば「月次の売上明細を部門別に集計するマクロを書いて」とAIに頼むと、VBAというコードが返ってきます。Excelの「マクロ」なら、聞いたことがあるかもしれません。実は、マクロの正体がこのVBAです。マクロを実行するとき、Excelの中ではVBAのコードが動いています。返ってきたコードは、Excelの中に用意されている貼り付け場所に貼り、マクロ有効ブック(.xlsm)という形式で保存すれば動かせます(→ 拡張子の正体)。貼り付け場所の開き方や保存の手順は、「このコードをExcelでどう動かすのか、手順も教えて」とAIに頼めば、コードと一緒に教えてくれます。途中でマクロを許可するかどうかのセキュリティ確認が出ることがありますが、それも同じようにAIに訊けば、進め方を教えてくれます。
HTMLを動かす場所は、ブラウザです。 「サービス案内の1枚ページを作って」と頼んで返ってきたHTMLは、メモ帳のようなテキストエディタに貼り付けて 案内.html のような名前で保存し、ダブルクリックすれば、ブラウザが開いて表示されます。Webページのもとになるコードを、手元のブラウザがその場で動かしてくれるのです。
ただし、ブラウザで開けたページが見えているのは、自分のパソコンの中だけです。インターネットに公開して誰でも見られるようにするには、また別の手順(デプロイ)が要ります。そこは別の記事で扱う予定です。
チャットの中で動かせるコードもある
Section titled “チャットの中で動かせるコードもある”「計算しているわけではない」で、AIは計算が必要になると裏でプログラムを書いて実行している、という話をしました。あれができるのは、主要な対話型AIの多くが、チャットの中に、Python——プログラムを書くときに広く使われる言語の一つ——のコードを動かす場所を持っているからです。
だから、一回きりの計算や変換なら、コードを受け取る必要すらありません。売上明細を渡して「部門別に集計して」と頼めば、AIがチャットの中でコードを書き、その場で実行し、結果だけを返してくれます。ただし、いつもコードを実行してくれるとは限りません。実行されないまま、当てずっぽうの数字が返ってくることもあります。合っていてほしい計算なら、「プログラムを書いて実行して」と明示的に頼むのが確実です。
ただし、チャットの中で動かせるのは、Pythonのような一部の種類だけです。VBAはチャットの中では動かせません——チャットの中にExcelはないからです。同じ「集計」でも、その場で答えだけもらえばよいならチャットの中で完結し、自社のExcelファイルに組み込んで何度も使いたいならVBAをもらって手元のExcelで動かす、という分かれ方になります。課題をどの道で解くかという大きな見取り図は「AIに訊くか、プログラムに解かせるか」で扱いました。
なお、Pythonは自分のパソコンに動かす場所を用意して使うこともできますが、その導入は専門家の世界に半歩入る話です。まずは、チャットの中で実行してもらうか、Excelやブラウザのように手元に場所があるコードから始めるのが近道です。
詰まったら、AIに訊く
Section titled “詰まったら、AIに訊く”ここまで読んで、それでも手が止まったら、コードを書いたAIにそのまま訊いてください。「このコードは、どこで、どうやって動かすのか」。コードを書けるAIは、動かし方も知っています。
動かしてエラーが出たときも同じです。英語まじりのメッセージを自分で解読する必要はありません。エラーメッセージをそのままコピーして、AIに貼り戻す。たいていは、原因の説明と直したコードが返ってきます。一度で直らなければ、出たエラーをまた貼る——この往復を繰り返せば、動くところまで近づいていけます。
コードは、プログラムの中身が書かれた指示書のテキスト。書いてもらっただけでは動かず、種類ごとに決まった「動かす場所」に置いて初めて動きます。VBAならExcel、HTMLならブラウザ——手元に場所があるコードなら、今日から動かせます。一回きりの計算や変換なら、チャットの中で実行してもらえば、コードを受け取る必要さえありません。そして詰まったら、書いたAIに動かし方ごと訊く。エラーはそのまま貼り戻す。
動かし方が分かると、「プログラムに任せる」という選択肢が、絵に描いた餅ではなくなります。自分の仕事のどこをプログラムに任せ、どこをAIと人が受け持つか——その振り分けは「プログラム・AI・人に振り分ける」で扱っています。
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最終点検: 2026年6月12日
出典: さとりのしょ — https://satorinosho.jp/it-foundations/run-ai-written-code/