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ひとつの業務でやってみる

チュートリアル 約6分で読めます

ここまでの3本——「自分の仕事を見渡す」「仕事を分解する」「プログラム・AI・人に振り分ける」——で見てきた進め方を、今度は自分の業務ひとつで、通しでやってみます。手を動かして最後まで進めると、ひとつの業務が1枚の表になり、「まず何から試すか」が1つ決まります。読んで分かったつもりのことを、自分の仕事の上で実際にやってみる回です。

先に到達点を見ておきます。最後まで進めると、選んだ業務が、ステップごとに「プログラム・AI・人」へ振り分けられた1枚の表になります。「金額の計算はプログラムに、見積書のたたき台はAIに、最終的な金額の判断は人に」——そんなふうに仕分けた表です。

そして、その表の中から「最初に試す一手」を1つだけ選んで終わります。たとえば「見積書の体裁を整えるたたき台を、AIに作らせてみる」。ここまで来れば、続きは明日から自分の仕事の中で試せます。

お手本は「見積もり作成」で進めます。自分の選んだ業務を隣に置いて、同じ手順をなぞってください。

  • 書くものがあれば十分です。紙でも、メモアプリでも、表計算でも構いません。立派な様式は要りません。
  • ふだんやっている業務を、ひとつ思い浮かべておきます。選び方は最初のステップで説明します。

特別なツールやアカウントは要りません。ここでやるのは「書き出して仕分ける」作業で、この回ではAIにはまだ触りません。

題材にする業務をひとつ選びます。最初の1つは、次のような仕事が向いています。

  • 何度も繰り返している(毎週・毎月など)
  • そこそこ手間がかかっている
  • だいたいやり方が決まっている(その都度ゼロから考える仕事ではない)

会社で一番難しい仕事を選ぶ必要はありません。むしろ、ありふれた定型に近い仕事のほうが分解も振り分けもしやすく、「できた」までたどり着けます。見積もり作成、請求書づくり、問い合わせへの返信、議事録の整理——このあたりが選びやすい例です。

お手本

選んだ業務:見積もり作成

あなたの番

選んだ業務:____________

選んだ業務を、やること(作業)の順番に並べます。難しく考えず、ふだん手を動かしている順に、始めから終わりまで矢印でつなぐだけです。入力や出力はまだ気にしません。それは次のステップで割り出します。

お手本——見積もり作成の流れ。

引き合いを受ける →
相手の要望を聞く →
過去の似た案件を調べる →
金額を計算する →
見積書の体裁に整える →
送る

あなたの番——数はお手本にそろえなくて構いません。

____ →
____ →
____ →

3つでも7つでも、「こういう順でやっているな」とたどれれば十分です。

3. 任せたいステップを「入力 → 作業 → 出力」に割る

Section titled “3. 任せたいステップを「入力 → 作業 → 出力」に割る”

流れの中から、「ここを任せられたら楽になりそう」というステップをひとつ選び、3つに割ります。入力(何があれば始められるか)、作業(何をするか)、出力(何が出てくれば終わりか)です。

お手本——「過去案件を踏まえてたたき台を作る」ステップを割ると、こうなります。

入力:似た過去案件の見積書 2〜3件、今回の要望メモ
作業:過去案件を参考に、項目と概算を埋めてたたき台を作る
出力:見積書のたたき台(金額は仮置き)

あなたの番——任せたいステップを1つ選んで割ります。

入力:____________
作業:____________
出力:____________

「入力」と「出力」がはっきり書けたら、そのステップはAIに頼みやすいステップです。入力=渡すもの、出力=頼む成果物が、もう見えているからです。逆に、入力がうまく言葉にできないステップは、勘や対人のやりとりで動いている——人が残すところのサインです。

4. プログラム・AI・人に振り分ける

Section titled “4. プログラム・AI・人に振り分ける”

流れの各ステップに、任せ先(プログラム/AI/人)を割り当てます。考える順番は プログラム → AI → 人。確実にできる側から先に拾うのがコツです。

  1. 手順が決まっていて毎回同じ仕事(数字の集計、転記、形式そろえ)は、プログラム。ふだん使う表計算の関数や業務システムも、中身はプログラムです。
  2. 残ったうち、コンピュータ上で言葉を扱う仕事(文章のたたき台、要約、整理)は、AI。
  3. 最後に残った決めること・責任を持つこと・相手と向き合うことは、人。

お手本

ステップ任せ先
引き合いを受ける
相手の要望を聞く人(メモの整理はAI)
過去の似た案件を調べるプログラム
金額を計算するプログラム(表計算)
見積書の体裁に整えるAI
送る

あなたの番——ステップ2で書いた流れの各ステップに、任せ先を割り当てます。

ステップ任せ先
____________プログラム / AI / 人
____________プログラム / AI / 人
…………

ひとつのステップに「人とAI」が混ざっても構いません(要望を聞くのは人、聞いたメモを整えるのはAI、のように)。きれいに3つに割り切れなくても正常です。

できた表を眺めて、最初に試す1マスを1つだけ選びます。目安は、プログラムかAIに振ったステップのうち、

  • 手間が減る、または正確になる効果が大きく
  • すぐに試せそうなもの。

お手本

最初に試す一手:見積書の体裁を整えるたたき台を、AIに作らせてみる

あなたの番

最初に試す一手:____________

お手本のように、全部を一度に変えようとせず、この1マスから始めます。

手元を見てください。次の3つがそろっていれば、完了です。

  • 選んだ業務が、流れになっている。
  • 各ステップに、プログラム・AI・人のどれかが割り当てられている。
  • そこから、最初に試す一手が1つ選べている。

表の中で、プログラム・AI・人が入り混じっているはずです。それが、ふつうの業務の姿です。「丸ごと自動化」という手のつけられない塊だったものが、ひとマスずつ手をつけられる形に変わった——これが、この回でやりたかったことです。

最初の一手がAIに頼む仕事なら、次は実際の頼み方です。ステップ3で割り出した「入力」を、そのまま背景としてAIに渡します——その具体的なやり方は「指示と背景をセットで渡す」にあります。

そのとき、会社の情報をどこまで渡してよいかが気になったら、「何を渡し、何を伏せるか」で線引きを扱っています。

そして、別の業務でもう一度この5ステップをなぞってみてください。最初は時間がかかっても、2つ3つと通すうちに、表にする前から「これはAI、これは人」と当たりがつくようになります。振り分けの勘所は、この通し作業を繰り返すほど早く身につきます。

最終点検: 2026年6月13日