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計算しているわけではない

解説 約4分で読めます

ChatGPT に売上の合計や来月の予測を頼むと、ちゃんと数字が返ってきます。だからつい「AIは計算もできる」と思いますが、正確には少し違います。AI自身が計算しているわけではありません。 素のAIは言葉を作る仕組みで、計算が必要なときは、裏でプログラムを書いて、それを実行して答えを出しています。「言葉を作るAI」と「計算するプログラム」は別物——この分かれ目を知ると、AIに数字を任せるときの見え方が変わります。

AIの中身は、これまでの文章に続く言葉を確率で選ぶ仕組みです(→ 生成AIとは何か)。数の意味を分かって足し算をしているのではなく、「ここにはこんな数字が続きそうだ」という、それらしい数字を言葉として並べているだけです。

たとえば、過去の仕入れ値をいくつか渡して「来月はいくらになりそう?」と聞けば、もっともらしい金額が返ってきます。けれど、それは相場や需要を計算した結果ではなく、雰囲気で出した当てずっぽうです。長い桁の掛け算をさせると平気で間違えるのも、同じ理由です。数字を「計算」しているのではなく、「それっぽく」生成しているのです。

これは「考えているわけではない」「できること・できないこと」で見たAIの性質を、お金が絡む数字の場面に当てはめたものです。

ところが実際に ChatGPT や Gemini、Claude で売上明細を貼って合計を頼むと、たいてい正しい数字が返ってきます。素のAIは計算が苦手なはずなのに、なぜでしょうか。

答えは、AIが計算そのものをしていないからです。最新の主要なAIは、計算が必要だと判断すると、その場で小さなプログラム(計算用のコード)を書き、それを実行して答えを出します。合計や平均のような処理は、プログラムにやらせれば確実です。返ってきた数字が合っているのは、AIが賢く暗算したからではなく、プログラムが計算したからです。

たとえるなら、AIは頭の中で暗算しているのではなく、その場で電卓を組み立てて叩いているようなものです。電卓を叩けば答えは合いますが、計算しているのは電卓であって、AIではありません。

ただし、AIがいつもこの電卓を持ち出すとは限りません。簡単そうな計算は素のまま答えてしまうこともありますし、プログラムを実行できない場面では、最初に見たとおり当てずっぽうの数字が返ります。数字が合うかどうかは、使うサービスや場面によって変わります。

「言葉を作るAI」と「計算するプログラム」は別物

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ここがこの記事の肝です。AIで数字が合うとき、中では2つの別々の役割が働いています。

  • 言葉を作る部分(AI本体) … 何をすべきか読み取り、計算用のプログラムを書く
  • 計算する部分(プログラム) … 書かれたとおりに、正確に計算する

AIは「計算ができる」のではなく、計算をプログラムに外注している——こう捉えるのが正確です。言い換えれば、AIの強みは計算する力ではなく、計算を任せるためのプログラムを書ける力にあります(プログラムのコードを書くこと自体は、AIの得意分野です → できること・できないこと)。

この分離が見えると、ひとつの道筋が浮かびます。計算・集計・分析のような「きっちり合っていてほしい仕事」は、AIに直接やらせるより、プログラムにやらせたほうが確実だということです。そして、そのプログラムを書くところは、AIが手伝ってくれます。

AIで数字が合っても、AI自身が計算しているわけではありません。素のAIは言葉を作る仕組みで、計算は裏でプログラムを書いて実行している。「言葉を作るAI」と「計算するプログラム」は別物で、AIは計算をプログラムに外注している——この構造を知っておくことが、数字をAIに任せるときの土台になります。

ここから自然に、2つの問いが続きます。ひとつは「そもそもプログラムでは何ができるのか」。計算や集計のほかに、どんな仕事を外に出せるのか——これは「プログラムで何ができるか」で扱っています。もうひとつは「自分の仕事で、AIに直接訊くべきか、プログラムに解かせるべきか」。この見分けは「AIに訊くか、プログラムに解かせるか」で扱っています。

最終点検: 2026年6月11日